心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

心不全の急性期治療としての機械的な治療、IABPについて

急性期の機械的な治療についてです。 現在、心不全で使用される機械的な治療としては、呼吸管理のほかには、IABP, IMPELLA, PCPS(VA-ECMO), VAD, ECUM, CHDF, (VV-ECMO)があると思います。 IABP (intra-aortic balloon pumping)​:大動脈内バルーンパンピング…

心不全の慢性期治療にはルプラックを使うのがいいと思います。

ルプラックという薬は慢性期の心不全にって非常に有用だと私は思っています。 以前にもお話ししましたが、私は慢性期のループ利尿薬は、基本的にルプラックを選択して、カリウム値が高いようであれば、ダイアートにするというようにしており、ラシックスを慢…

サムスカは、膜の透過性を変化させて胸水を減らす可能性があるのではないかと個人的には思っています。

サムスカは、膜の透過性を変化して胸水を減らす可能性があるのではないかと個人的には思っています。 臨床的に、尿量と血清ナトリウムが上がる作用以上に、胸水がへっている印象があったというのが、この考えの一番の出発点です。 これに関しての答えはあり…

私が考えるサムスカ副作用が起こる最大の危険因子は、軽度の認知症

サムスカは、血行動態的に一番安全な利尿薬だと思います。ラシックスなども効かなければ尿が出ないだけなので、血管拡張薬に比べれば、全然危険ということはないのですが、サムスカは血行動態的に乱れることが最も少ないと思います。 ただ、サムスカ特有の合…

なぜ、サムスカは有効なのか、血行動態的に安全なのか。それは、腎静脈のナトリウム濃度の変化にあると考えられる。

すこし浮腫に関してのおさらいです。 心不全の時には、何らかの理由で心内圧が上昇します。その結果、心臓の最も下流にある右房圧が上昇します。すると全身の静脈圧が上昇し、それによって全身の浮腫が生じます。この時の血管から間質への水の漏れはスターリ…

サムスカが教えてくれたこと:水はどのように全身に分布するのか。

サムスカが教えてくれた水の分布についてです。 ​ 心不全の時には、体に余分な水が貯まります。​ 水のたまり方について、サムスカは考えさせてくれました。​ ​ 輸液の考え方で、水(自由水=ブドウ糖液)を輸液するときと、生理食塩水を輸液するとき、アルブミ…

サムスカという薬

サムスカという利尿薬があります。発売が2010年12月14日とのことですので、すでに8年と少し経っていることになります。 新しい機序の薬というのは、治療の新たな一手となるだけではなく、特に臨床医に病態を考え直すきっかけを与えたり、改めて今までにもあ…

TR(8):三尖弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療の可能性について

三尖弁閉鎖不全に対する治療に対するカテーテル治療に関しての論文が最近報告されました。​ 「Georg Nickenig, Marcel Weber, Robert Schueler, et al.​ 6-Month Outcomes of Tricuspid Valve Reconstruction for Patients With Severe Tricuspid Regurgitat…

急性心不全の治療(29):急性心不全で徐脈を合併しているときには

急性心不全の時には、なんだかんだでしんどくなりますので、普段よりも脈は速くなります。しかし、徐脈性の不整脈が合併していて、明らかに徐脈になっていたり、心不全の急性期のわりに徐脈っぽくなっていることがあります。 心エコーでの心臓の動きは正常で…

急性心不全の治療(28):心不全と心房細動とジギタリスと

ジギタリス製剤は、心房細動によく投与されているのをみかけますが、慢性期の心房細動の患者に投与するのは、エビデンス的には、有害な可能性がありますので、心房細動を伴う心不全患者への投与は勧められません。 ジギタリスの作用としては、Na/Kチャンネル…