心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

急性心不全の治療(2):VTI 心エコーによる心拍出量の推定

低潅流の所見は、手を触って、指で爪を押さえて毛細血管充満時間(CRT, capillary refilling time)を計ってみる、そうするとすぐに評価が可能です。 しかし、主観的な要素の強い検査ですし、これが陽性だからといって、なかなかすぐに強心薬などの治療に踏み…

急性心不全の治療(1):何はともあれ低潅流、循環不全の有無を評価

心不全の治療をお話ししていこうと思います。 急性心不全の中でも、特に慢性心不全の急性増悪といわれる心不全の治療をイメージして述べていきたいと思います。 心不全の中には、劇症型心筋炎や、移植か緩和医療しかないというくらいの重症心不全など非常に…

三尖弁閉鎖不全症の手術治療の有効性を考える。

三尖弁閉鎖不全症の治療をどうするかというのは、古いようで、比較的最近の話題です。 三尖弁閉鎖不全の時に評価しなければならないのは、まず、右室機能自体はいいのかどうか、つまり、右室の心筋の病気でなったのか、また三尖弁単独の異常による閉鎖不全か…

PS(2):肺動脈弁狭窄症、ガイドラインを踏まえて

肺動脈狭窄症に関しては、あまり言及されている成人のガイドラインはありません。 あまり見ることもないというのが現状だと思います。 AHAのガイドラインでは、原因には、特にこれといいうものは記載はなく、弁自体の硬化変性程度の記載になっています。 エ…

PS(1):肺動脈弁狭窄症とその関連疾患。私の経験

肺動脈狭窄症か、その類縁の疾患はごくまれに遭遇する可能性があります。 まず、私の経験ですが、肺動脈弁弁下狭窄症という方を受け持ったことがあります。これは右室流出路に、弁と同じ線維性成分ができてしまって、その部分で狭窄を起こしたしまうという疾…

肺動脈弁閉鎖不全症の評価方法

肺動脈弁閉鎖不全は、traceからmild程度ならしょっちゅうみますし、moderate位もたまに見ると思います。ただ、何をもってmildとして、moderateとするのか、AHAのガイドラインは教えてくれません。また、ASE(アメリカエコー協会)も、これに対する答えは教えて…

Pressure half time(ARとMSの重症度評価)

エコーの重症度評価に用いられる指標で、お話しし忘れた項目がありましたので、ここでお話します。 Pressure half time(PHT)は、大動脈弁閉鎖不全症と僧帽弁狭窄症の評価で用いられる指標です。 これは、弁の前後の圧較差を利用した指標です。 圧較差がどれ…

TS:三尖弁狭窄症

三尖弁狭窄症(TS, tricuspid valve stenosis)は、ほとんどみないと思います。 私は純粋な自己弁の三尖弁狭窄を経験したことはありませんが、一度何かの理由で三尖弁が生体弁に置換されていて、その生体弁が硬化変性していて、三尖弁狭窄になっていたというこ…

TR(7):三尖弁閉鎖不全症に対する外科治療

三尖弁閉鎖不全の治療は、ほとんどが左室の不全を中心とした心不全の影響によるものが多いため、単独の治療というよりは冠動脈バイパス術や左心の弁膜症の手術などの時に同時に行われることがほとんどです。 左室系の手術に伴って三尖弁も併せて手術をするか…

TR(6):三尖弁閉鎖不全でみられる血行動態的なエコー所見など (AHAのガイドラインより)

僧帽弁閉鎖不全症や大動脈弁閉鎖不全症でも同じですが、AHA(アメリカ心臓病協会)のガイドラインでは、心エコーやカテーテルなどを用いて、弁膜症疾患を4つのStageに分類しています。弁膜症の原因となるような異常はあるが、弁膜症はないかごくごくわずかであ…