心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

心不全のすべて(15:心不全の症状の原因)

心不全で、収縮機能が悪くなると、必然的に心臓は大きくなります。 急性の変化では、心室が大きくなるに従って、心内圧は上昇します。 慢性の変化でも、おそらく心臓が大きくなることで心内圧が低下することはないと考えられます。 収縮機能低下を原因にした…

心不全のすべて(14:心臓の容積はどのように決まるのか。重要キーワード Afterloadmismatchとは)

心臓は、体が必要とする酸素需要を満たすために適当な循環血流量を駆出します。 心臓の大きさは人の胸郭の大きさによって適当な範囲の大きさで、かつ、心臓のエネルギー効率との兼ね合いで、1回の心拍出量がおよそ70ml程度で、心拍数70回程度、左室の駆出…

心不全のすべて(13:心臓が拡大するということは収縮性が低下しているということ)

心筋の拡張・収縮機能の不全が、狭義の不全心であると考えます。 拡張型心筋症という疾患があります。 拡張型というくらいなので、拡張しています。 どこがというと、基本的には左室が拡張していて、左室の動きが悪くなっているものを、ざっくりと拡張型心筋…

心不全のすべて(12:心筋細胞不全)

心不全の心筋には何が起こっているのか。 心臓の筋肉は、心筋細胞内にあるアクチン・ミオシンの、カルシウム濃度に依存した滑り込み機構によって、収縮と拡張を繰り返します。 心不全を起こす最も狭い意味での不全心は、心筋細胞の機能不全を基礎にしていま…

心不全のすべて(11:心臓を流れる電気)

心臓の収縮拡張は電気的な刺激でコントロールされています。 心臓の電気によるコントロールで、非常に大事な部分が2つあります。 右房の上大静脈近くにある洞結節と、同じく右房の左右の心房心室が集まる部分の近くにある房室結節です。 心房と心室は、房室…

心不全のすべて(10:心筋細胞のカルシウム濃度が増える仕組み))

心筋細胞の拡張と収縮には、細胞内のカルシウム濃度が重要です。 心筋の収縮機構であるアクチン・ミオシンのアクチンにくっついているトロポニンCという蛋白に、カルシウムがくっついて心筋が収縮し、はずれることで心筋は弛緩します。 また、カルシウムのほ…

心不全のすべて(9:心筋細胞の収縮)

心臓の収縮を細胞のレベルで見ていきたいと思います。 (おおむねほかの筋肉でも起きていることは同じですが、心臓は自律的に動くので、コントロール系統が違います) 心筋の中には、筋肉繊維が束ねられた束があって、それが収縮することで細胞としても収縮し…

心不全のすべて(8:心臓の収縮機構)

心臓は、組織としてみるとバネの性質を持っています。 心臓の筋肉を取り出して、棒状にするとバネになります(カエルの心臓で実験されています)。 棒状の心臓の筋肉を引っ張って放すと、自然にしている状態の長さよりも短く縮んで、元に戻ります。 また、長く…

心不全のすべて(7:拡張機能と心不全症状)

今回は、拡張機能と心不全症状のお話です。 私は、心臓においては収縮よりも拡張する機能の方が、多くの心不全では重要だと考えています。 特に心機能障害がかなり進行して心臓がだす(拍出)血流量が、体が必要とする有効循環血流量を満たすことができない…

心不全のすべて(6-2:拡張機能を障害するもの (蓄積性疾患と拘束型心筋症))

間質の線維化のほかにも、蓄積性疾患といって異常なたんぱくが心筋間質に沈着することで、心機能の拡張機能が低下するような疾患もあります。2次性の拘束型心筋症といわれることもあります。 蓄積性疾患として比較的よくみるのが、アミロイドーシスとサルコ…